2002.10
2002年10月
◯82/10の手帳から ミニコミの打ち合わせや合評会。中央線沿線の「いかにも」という感じの本屋の裏部屋などで。
◯92/10の手帳から トリュフォー作品の廉価版ビデオ・シリーズを買い込んで見まくる。その他、第七病棟の舞台や「阿賀に生きる」「美しき諍い女」などの映画。
「囲まれた1年」(2002/10/14)
あのー、「囲まれた」という言葉は、岩明均さんの漫画「剣の舞」からの連想です(講談社『雪の峠・剣の舞』所収)。岩明さんは人間と寄生生命体が共存できるかというテーマを追いかけた傑作長編『寄生獣』(講談社)で燃えつきてしまったかのように、チャンバラ物ではあるけれど、どこか静かなこの時代劇漫画を描いた。「剣の舞」は新陰流の創始者たちのドラマで、彼らは武田軍に囲まれ絶体絶命と思われながら、敵を片っ端から切って、最後に「囲みを破った」。そしてまた剣の道を追及するという話ですが、まあ、そんな時代劇の一こまに自分を思い入れたりしているというわけです(「利家とまつ」じゃないですが、時代劇というものは、現代人の思い入れを基本に成立しているんでしょうね)。
で、何度も愚痴めいたことを書いて恐縮ですが、とにかく今年の仕事は量質ともに並じゃない。辞典のCD-ROMを初夏に完成させ、休む間もなく書籍版の辞書7ポ・べースの2段組、2000ページ強の仕上げに入り、同時にCD-ROMの各種アフター・サービスや宣伝まで引き受け各種会議もこなして、夏を越せるかと思いながら秋に突入し、来月が終わる頃には去年の暮れから続いたピーク状態の連続の「囲み」を何とか破れるかという見通しです。
それにしても、体重が減ったのに加え、体に痛みが走るようになったのには参ります。あまりに毎日痛むので病院に行ったところ、データ的には病院で扱える症状ではないということになり、ほっとしたような情けないような。自分で肋間神経痛と診断して、売薬で痛みをごまかして日々を過ごしています。まあ、夏の間には、ばてて本も読めないという時期もありましたが、本が読めないという自分の健康にとってひとつの最後のバロメーターのような症状は今は出ていないので、何とかなるだろうとは思っています。今はサルマン・ラシュディさんの今のところ一番新しい小説『憤激(Fury)』(初版2001年)を読んでいます。まだ読み始めたばかりですが、20ページくらいですでに、東西の相容れない文化、思想史や神話、60年代以降の対抗文化の変遷、イギリスの知識階級の嫌味とそれを風刺する文化、恋、友情など、濃いエッセンスがマジックのような文体で語られ、英語は難しいんですが、やはりこの人は天才というか、格が違うと舌を巻いているところです。
涼しくなりました。体には気をつけましょう。
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